『こういうのがいい』ドラマレビュー|束縛も嫉妬もない恋愛が、なぜか一番リアルに見える

こういうのがいい ドラマレビュー

深夜2時、ゲームしながら全話見た。それがいちばん正しい見方だと思う

『こういうのがいい』は、ひとことで言えば「束縛も嫉妒もない男女が、ゲームとメシとエッチで繋がっている」という話。原作は双龍によるヤングジャンプ連載漫画で、ABEMAが実写ドラマ化した。全話各約24分。

深夜に見るのがいちばんいい。難しいことを考えず、だらだら見て、「あー、こういう関係、実はいちばん楽なんだよな」と思えたらそれで十分。ただし、その「楽さ」の裏にあるものに気づくかどうかで、評価が分かれる。

束縛彼女とモラハラ彼氏から逃げた二人が、ラブホで出会う

エンジニアの在宅ワーカー・村田元気(西山潤)は、「私と仕事どっちが大事?」を繰り返す束縛彼女にウンザリして別れたばかり。一方、性に奔放な江口友香(田中美麗)は、自分のモラルを押しつけてくるモラハラ彼氏に愛想をつかして別れたばかり。

オンラインゲームのオフ会で出会った二人は、合コンみたいな雰囲気に嫁気がさして拜け出し、ゲームの話で意気投合。無用な質問攻めもモラルの押しつけもなく、何でも本音で話せる関係に径が一致。そのままラブホテルへ。

ここまでが第1話。この展開の速さとノリが、このドラマの全体像を象徴している。

「恋人未満、セフレ以上」の空気感が、妄想ではなくリアルに見える理由

『こういうのがいい』の一番の魅力は、村田と友香の関係が「都合のいい妄想」にならないことだ。普通なら、この手の設定は「都合のいい男のファンタジー」に堕ちる。でもこの作品が絶妙なのは、二人が「束縛されたくない」からこの関係を選んでいるという明確な理由がある点。

前の恋人に傷つけられた経験があるからこそ、「気を使わないで済む関係」の快適さがリアルに描かれる。二人でゲームして、一緒にメシ食って、気軽にエッチして、その後も別に気まずくない。「付き合ってないけど一緒にいる」という状態の居心地の良さを、画面から感じ取れる。

原作漫画(双龍)のファンなら知っていると思うが、この作品の本質は「恋愛の形の多様性」だ。「正式に付き合わなきゃ意味がない」という固定観念への、温度低めのアンチテーゼ。

ABEMAで全話配信中

正直、このドラマは文章で説明するより、第1話の最初の5分で空気感が分かる。合う人には合うし、合わない人にはとことん合わない。各話24分だから、お試しのハードルは極めて低い。ABEMAプレミアムなら月額1,180円(税込)で全話見放題。広告つきプランなら680円(税込)。680円で「こういう関係、アリかナシか」を確かめられるなら、時間対効果としては悪くない。

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西山潤と田中美麗——「抜き感」が良いキャスティング

村田元気を演じる西山潤は、「ヘタレだけど根は優しい」という原作のキャラクターを自然体で演じている。ガツガツしたイケメン俳優じゃない分、「こういう子、いるいる」というリアリティがある。

江口友香の田中美麗は、「性に奔放」という設定を下品にならずに演じているのが良い。「好きなことを好きなようにやる」という友香のスタンスが、演技でも伝わってくる。

二人のケミストリーが良く、「付き合ってないのに一緒にいて居心地がいい」という微妙な空気が画面から伝わる。これはキャストの相性が良くないと成立しないので、キャスティングは成功と言っていい。

正直に書く——このドラマの弱点

1. 「エッチありき」のラベルに引っ張られる。原作漫画の「お色気」要素をドラマでどこまで再現するかのバランスが難しく、「攻めた」シーンと「抜いた」シーンの温度差が気になる。深夜ドラマとしての制約が見える箇所がある。

2. ストーリーの展開が薄い。原作の「日常系」の良さを活かそうとしているのは分かるが、ドラマとして見たときに「で、何が起きるの?」と感じる回がある。創作からのファンは楽しめるが、ドラマ単体で入ると物足りなさを感じるかもしれない。

3. 主要キャスト以外の存在感が薄い。束縛彼女役の二瓶有加、モラハラ彼氏役の前田瑤貴など、「元恵人」たちの描写がステレオタイプに留まっている。「束縛彼女」「モラハラ彼氏」というラベルだけで終わっていて、なぜそうなったのかの深みがない。

4. 24分×数話の尺の限界。原作は連載中の長編なので、ドラマでは当然一部しか拾えない。「原作のほうがいい」と言われたら、それはそうかもしれない。でも「入口」としては悪くない。

こんな人に刺さる / 合わない人

刺さる人:

  • 前の恋人の束縛やモラハラに疲れた経験がある人
  • 「恋人」という形にこだわらない関係に共感できる人
  • 深夜にサクッと見られる軽いラブコメが見たい人
  • 原作漫画のファンで実写版が気になる人

合わない人:

  • 恋愛ドラマに明確なストーリー展開を求める人
  • 「セフレ」という関係性に抵抗がある人
  • 性的な描写が苦手な人
  • 原作のディテールを求める熱心なファン

「楽な恋愛」が、実は一番難しいという話

『こういうのがいい』は、結論から言えば傲作ではない。ストーリーの展開は薄いし、原作には及ばない部分もある。でも、「束縛も嫉妒もない関係」って実際どんな感じなのか、を空気感で見せてくれるドラマは、そう多くない。

そして、その「楽さ」の先にあるもの——二人がこの関係のままでいられるのか、それともいつか「恋人」になるのか、あるいは別の形に変わるのか——それを考えながら見るのが、このドラマの正しい楽しみ方だと思う。

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